続・夏のおもひで

学習に停滞を被ってはならない。だからといって単一の作業を異なる時間分けて取り組むことは斟酌すべきである。経験則的にそうしない方がよかろうということである。とにかく現在は鬱積している。今すぐにでも学習を切り上げたい。全く思うようにいかない。非常に剣呑である。余った時間に何をするわけでもない。家に帰ったら怠惰に耽るに決まっている。そして後悔するのである。それも決まっている。脳がさっぱりとしない。思考が明快でない。前途の雲行きが怪しい。憮然としている。隣の女に神経がすり減らされている感がある。神経質かもしれない。

 

 

昨日あれほど認めた自分の態度も今日にして崩壊した。なんと人間は単純な生き物であろうか。何をするにも億劫である。

 

 

ただ音楽だけがこの世の苦しみの深淵から万人を救う。音楽のない人生は地獄と同値である。だのに凡その音楽家に強いられるのは地獄である。生き地獄である。天賦の才を贈与された人間の為す営みが地獄に等しいとは皮肉である。畢竟微笑も許さぬ皮肉である。ふと目を落とすとキーボードの上に木漏れ日が差し込んでいる。木漏れ日とは名ばかりのブラインドの隙間から射す光である。少量の神々しさを含みながら黒色のキーボードの上を漂っている。稚児の微笑みの感がある。無邪気に棚引く光の点が晩夏の色を象っている。たといそうであるとしても学習に対する億劫は拭いきれない。数学などくだらない。