今、私にできること

反省の効能はその正しい用途によって大きく作用する。反省の材料というのは失敗である。仮説と実行の元に裏付けられた失敗である。失敗こそ反省の糧となる。失敗なくして成長なしの原則は周知である。だからといって同じ失敗を重ねることを是としてはならぬ。この事実も同様に周知でありながらその留意に努める人間の少なさには呆れ返るほどである。そして私もその例に漏れないという事実が眼前にある。この事実に直面して平生を保つことが出来るというのなら、それは半ば狂気である。己の人生に直接的に作用する現在という時間にあって、些細な梃入れすら出来ないのであればそれは無能力の証明である。無能力は永遠に祟る。しかしこれを看過する人間の実に多いことである。先ほど私は愚だと称した。愚であれは愚なりに行動を起こさねばならぬ。そうでなくては畢竟愚のまま土に還ることになる。剣呑なのは土に還った愚が浄化されない点になる。愚は往々にし万物に作用する。怠惰こそ愚の最もたる効能である。知性を持つ人間にせめて求められるものがあるとするならば、愚からの脱却である。