夏の朦朧

人間が他の生物と異なる点は様々です。知能においてそれは明らかであり、意思伝達能力によって明らかであります。殊利便性に関しては圧倒的に長けております。利便性に長けるということはあらゆる生存戦略が効率化に繋がり、種の繁栄という我々の遺伝子に組み込まれた生物的システムの上に如実に反映されます。

全てが便宜的であるように思います。しかし、便宜的であるがゆえに、人間は複雑怪奇な行動をとることがあります。それが自殺です。

種の繁栄という観点から、自殺という行為は非合理的です。例えば、働きアリは女王アリを守るべく、文字通り決死の覚悟で外敵と戦います。そこにある死は厭われません。なぜなら、それが種の繁栄として最適解だからです。自殺はどうでしょうか。自殺をすることで種の繁栄が促進されるということは、まずないと思います。午後のニュースで取り沙汰されて、視聴者各々が思うところを抱きつつ、或いは夕食の銀鱈の照り焼きに気を取られながら、自殺という行為は社会に対しても一過的な情報に終始します。とにかく、自殺という行為は不可思議であります。本当に不思議だ。そんなことを考える今日この頃です。なぜか。昨日、しばしば旧交を温めあった友人が自殺したからであります。